中国入門15
トイレから個室に戻り15分後に店を出た。
会計は、サイトーがしてくれたようだ。
正直、会議の時間が気になって、それどころじゃない。
入り口まで、女子が手を取り見送る。
「おやすみなさーい」
こちらが周囲を気にして赤面してしまうくらいの大声の挨拶。
マニュアルがあるのだろうか?
50歩ほどあるいて振り返ると、サイトーについていた女は、暗がりに青い光を放つ携帯の画面を見ていたが、あの女は、まだこちらを見ていた。
闇夜に、白い光を放つ瞳は、数十メートル離れていてもはっきりと捉えることができた。
心なしか、寂しそうにも見えた。
2階建てのモール状の建物が連なるエリアを抜ける。
こちらにまだ向かってくるスーツの一段もいる。
そもそも、団体行動が苦手な自分としては、
いかにも出張らしい開放感を身にまとった一段の日本語を聞くのも
反吐が出そうだ。
サイトーの導きでタクシーに乗り込む。
サイトーは今度は後部座席に乗り込んだ。短い運転手とのやり取り。
「おつかれさまでした。本当はマッサージとか、次の店のメニューを考えていたのですが」
とサイト−。
車は、片側2車線で街路樹の整備された道を疾走する。
「いいえ、どうせ1時間くらいの会議の後には、また疲れているでしょうから」
「お忙しいですねぇ。羨ましい限りです」
「いえいえ、ここ数年はこういう生活ですから。何もない夜のほうが異常で、寝付きが悪いんです」
「そうそう、王さんが明日の昼ご一緒しようということです」
「えっ、また飲むの?」
「それかどうかはわかりませんけど、気に入ってはったみたいですわ」
もう、王の顔すらも覚えていない。
なんとなく70年代の中国人みたいな7:3の髪型以外は。
「力になれるかもしれへんそうですわ」
「サイト−さんも入るの?」
「行きがかり上しょうがないですね」
なにやら楽しそうなサイト−。
「あっ、もうすぐつきます。50元もってます?」
財布の中の上海で両替してから使っていない緑の毛沢東を差し出す。
「あの店の代金は?」
「それはまた明日にでも」
なにそれ、怖い。
ま、でもいいか。明日あうし。
「まぁ、あの店は行きつけですから。上海ですと、飛び込みで男二人やったら、偉いことになることもありますけど、こっちは地元ですからね。どうにでもなりますわ。あんまり気にせんといてください」
「では、お言葉に甘えて」
その言葉と同時にシェラトンのロビーに車が停まる。
焦っていた、サイトーへの挨拶もそこそこにエレベータホールに消えた男を彼はどういう風にとらえたのだろう?
どうせ会議の中では、出張の経過報告をしつこく求めてくるだろう。
エレベータで、もう8年くらい前にインディアナ大学のMBAセミナーでもらったコーチの名刺入れから王の名刺を取り出す。肩書がズラリと5行くらいならぶ横行な名刺だが、なぜがメルアドがホットメールだ。
とりあえず、会議では、サイトーに紹介された王というどうやら自分たちが抱えている問題を解決してくれそうなキーマンに出会えたという事実だけを伝えよう。
エレベータを出て、ホールでカード鍵を財布から取り出す。
マホガニーみたいな木製のやや重いドアをあけると、不断電源という表示のあったコンセントに繋いだノートPCが、窓際の机から青い光を漆黒の部屋中に放っていた。
あの女の横で携帯を見ていた女の光と同じだ。
スカーゲンを見ると会議まであと2分。
急いでPCで会議のアジェンダを確認する。
ラッキーだったのは、いつもは10行くらいあるアジェンダが、今回は5行くらい。
早めに眠れそうだ。
まだ、頭が痛い。
冷蔵庫からいくらするかしらないが、ペリエをとりだし、喉に流し込む。
カバンからLGの携帯を取り出し、それでも1分時間があるので、あのタバコに火をつけた。
会計は、サイトーがしてくれたようだ。
正直、会議の時間が気になって、それどころじゃない。
入り口まで、女子が手を取り見送る。
「おやすみなさーい」
こちらが周囲を気にして赤面してしまうくらいの大声の挨拶。
マニュアルがあるのだろうか?
50歩ほどあるいて振り返ると、サイトーについていた女は、暗がりに青い光を放つ携帯の画面を見ていたが、あの女は、まだこちらを見ていた。
闇夜に、白い光を放つ瞳は、数十メートル離れていてもはっきりと捉えることができた。
心なしか、寂しそうにも見えた。
2階建てのモール状の建物が連なるエリアを抜ける。
こちらにまだ向かってくるスーツの一段もいる。
そもそも、団体行動が苦手な自分としては、
いかにも出張らしい開放感を身にまとった一段の日本語を聞くのも
反吐が出そうだ。
サイトーの導きでタクシーに乗り込む。
サイトーは今度は後部座席に乗り込んだ。短い運転手とのやり取り。
「おつかれさまでした。本当はマッサージとか、次の店のメニューを考えていたのですが」
とサイト−。
車は、片側2車線で街路樹の整備された道を疾走する。
「いいえ、どうせ1時間くらいの会議の後には、また疲れているでしょうから」
「お忙しいですねぇ。羨ましい限りです」
「いえいえ、ここ数年はこういう生活ですから。何もない夜のほうが異常で、寝付きが悪いんです」
「そうそう、王さんが明日の昼ご一緒しようということです」
「えっ、また飲むの?」
「それかどうかはわかりませんけど、気に入ってはったみたいですわ」
もう、王の顔すらも覚えていない。
なんとなく70年代の中国人みたいな7:3の髪型以外は。
「力になれるかもしれへんそうですわ」
「サイト−さんも入るの?」
「行きがかり上しょうがないですね」
なにやら楽しそうなサイト−。
「あっ、もうすぐつきます。50元もってます?」
財布の中の上海で両替してから使っていない緑の毛沢東を差し出す。
「あの店の代金は?」
「それはまた明日にでも」
なにそれ、怖い。
ま、でもいいか。明日あうし。
「まぁ、あの店は行きつけですから。上海ですと、飛び込みで男二人やったら、偉いことになることもありますけど、こっちは地元ですからね。どうにでもなりますわ。あんまり気にせんといてください」
「では、お言葉に甘えて」
その言葉と同時にシェラトンのロビーに車が停まる。
焦っていた、サイトーへの挨拶もそこそこにエレベータホールに消えた男を彼はどういう風にとらえたのだろう?
どうせ会議の中では、出張の経過報告をしつこく求めてくるだろう。
エレベータで、もう8年くらい前にインディアナ大学のMBAセミナーでもらったコーチの名刺入れから王の名刺を取り出す。肩書がズラリと5行くらいならぶ横行な名刺だが、なぜがメルアドがホットメールだ。
とりあえず、会議では、サイトーに紹介された王というどうやら自分たちが抱えている問題を解決してくれそうなキーマンに出会えたという事実だけを伝えよう。
エレベータを出て、ホールでカード鍵を財布から取り出す。
マホガニーみたいな木製のやや重いドアをあけると、不断電源という表示のあったコンセントに繋いだノートPCが、窓際の机から青い光を漆黒の部屋中に放っていた。
あの女の横で携帯を見ていた女の光と同じだ。
スカーゲンを見ると会議まであと2分。
急いでPCで会議のアジェンダを確認する。
ラッキーだったのは、いつもは10行くらいあるアジェンダが、今回は5行くらい。
早めに眠れそうだ。
まだ、頭が痛い。
冷蔵庫からいくらするかしらないが、ペリエをとりだし、喉に流し込む。
カバンからLGの携帯を取り出し、それでも1分時間があるので、あのタバコに火をつけた。
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